実用プラスチックの工業化は、1870年のセルロイドの発見から始まります。その後、様々な合成樹脂が発明され、第二次世界大戦後にはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレンなどが普及。用途に合わせて改良され、急速に進化したプラスチックは、私たちの生活になくてはならないものとなりました。金属に比べて歴史の浅いプラスチックが広く利用されるようになった理由は、その優れた材料特性にあります。

私たちはプラスチック製品に囲まれて生活しています。世界で使われるレジ袋の数は年間最大５兆枚、1分間に約100万本ものペットボトルが売られています。なんと、過去10年間だけで、20世紀の100年間を上回る量のプラスチックが生産されました。

しかも、私たちが使うプラスチック製品の約50％は使い捨てです。使い捨てプラスチック包装の95％は廃棄され、年間1,300万トンものプラスチックが川や海に流れ着いています。プラスチックは自然界で分解されにくく、500年も環境中に残ることがあると言われています。

出典：国連広報センターBEATPLASTICPOLLUTIONより

日本のプラスチック生産量は世界第3位※。廃棄されるプラスチックの有効利用率も約84％と高くなっていますが、全体の57.5％はサーマルリサイクルに頼っているのが現状です。燃焼の際にエネルギーを回収するとはいえ、化石燃料ですのでCO2を排出することになります。

また、日本はこれまで廃プラスチックの多くを、中国やアジア諸国に輸出していましたが、世界最大の輸入国であった中国が2017年から廃プラスチックの輸入を規制。これにより、国内焼却場のキャパシティーを超え、処理費が10倍に高騰するケースも出てきました。さらには、2019年5月のバーゼル条約締約国会議にて、リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみの輸出規制が決定。2021年以降、一部の除外品目を除き、廃プラスチックの輸出が法的に制限されています。こうした状況を受けて、日本国内でのマテリアルリサイクルが急務となっているのです。

熱可塑性プラスチック及びポリウレタンの素材生産量。PlasticsEurope (2017)